01: 認知バイアス
人は、その人の行動や思考、あるいは周囲の環境に影響を受けて、物事を認識する。
その認識に影響を与える要因を「認知バイアス」というらしい。
その認知バイアスとやらは、過去・現在・未来の3つに分類できる。それぞれを簡単にいうと、以下のようになり、それぞれを細かくみていく。
- 過去 ・・・ 経験から受ける影響
- 現在 ・・・ 周囲の状況
- 未来 ・・・ その人の目標
☆ 過去(経験によるバイアス)
まずは過去、つまり経験が知覚に与える影響であるが、この中でもさらに以下のよう
に分類することができる。
〇 知覚的プライミング
先行刺激(プライム)が与えられると、物事の一部にのみ焦点が当たり、別の部分に
意識がまわらず、知覚できないことがある。
〇 馴染みのものに関する知覚パターン(フレーム)
暗闇でも自宅内を壁にぶつかることなく移動し、部屋の電気をつけることができ
るように、「ある場面では、何を知覚するのか」がパターンとして頭の中にでき
あがっている。これをフレームという。
〇 習慣化
「利用規約に同意」をネット初心者のときはちゃんと読んでクリックしていたのに
今ではいつの間にかクリックしていたりしませんか?
これは、何度も同じ内容を繰り返し知覚することで、その知覚内容に対する感度が
鈍ってしまうからで、習慣化と呼ばれる現象である。
〇 注意の瞬き
ある重要な物事にハッと気が付くと、一瞬、目や耳は正常に機能しつつも、知覚で
きない状態になることがある。
☆ 現在(コンテキスト)
続いては、現在の周囲の状況が認識にもたらす影響について。
ところで、文章を読む際、ワタシたちはどのように知覚しているのでしょうか。
まず文字1字1字の形を見て1文字を知覚し、その文字の組から単語を知覚し、さらに
その単語の組から文章を知覚するというボトムアップ型(より高次へ向かう情報処理)
の処理だろうと考えがちです。しかし、汚い手書きの文章を思い出してみてくださ
い。文字がきちんと書かれていないにも関わらず読めてしまった経験があると思いま
す。それは文章全体を知覚した上で、この汚い文字はこうに違いないと知覚するから
です。つまり、視覚の認識においては、ボトムアップ型だけでなく、トップダウン型
の処理も行っているというわけ。
文字の認識以外にも現在のコンテキストによる視覚のバイアスは起こる。そのいい例
が錯視。平行な線がその線を横切る別の線によって歪んで見えることがある。
これらは視覚的な刺激によって視覚にバイアスがかかる例だったが、ある感覚の刺激
が、別の感覚にバイアスをかけることもある。
視覚的な刺激が聴覚に影響を与える例もあり、映像と音声が不一致な動画の音声を正
しく認識できなくなるマガーク効果やパクパク動く人形があたかも喋っているように
見える腹話術などがそう。
逆に聴覚的な刺激が視覚に影響を与える例もあり、画面上で光を1回点滅させるのに
対し、2回のビープ音を聞かせると、2回点滅したと知覚してしまうフラッシュ効果に
よる錯視があります。ちなみにビープ音の反復速度で点滅速度も変わったように感じ
るらしい。
☆ 未来(目標)
3つ目は近い未来の目標や予定がもたらすバイアスについて。具体的には誘導やふる
い分けと呼ばれる現象がある。
〇 誘導
必要なものを周囲の世界から選び出せるように、知覚器官を誘導する。
〇 ふるい分け
目標に無関係のものは意識にのぼる前に、除去される。
例えば、マックのバイト情報が得たくて、ネットでマックのサイトを見た人がいた
とする。この後、その人に今マックでやってるキャンペーンなどを聞いてもわから
ない場合がある。キャンペーン情報の載っている画面を見ていても、目的が別にあ
るせいで、知覚しなかったのだ。
聴覚的にはカクテルパーティ効果のように、ざわついた環境でも話し相手の声を聴
きとれるなどがある。
☆ 最後に(個人的なかんそー)
人に何かを伝えたり、ゲームを作ったりするとき、どういう工夫が必要か考える際に
この知識を活かせたらなぁと思った。
※この記事は「UIデザインの心理学(著:Jeff Johnson)」を読んで、内容を忘れない
ように作成した記事です。